陶と人 – bum

陶と人

春の始まる頃より開催した展示が終了いたしました。

出版社さりげなくのカノコ氏に展示を振り返った方がいいですよ、と言われていたことを思い出し、
Instagramで書こうかな、と思ったがなかなか筆(この場合は指か?まあ便宜上筆とする)が
進まないので催し事の記録はここにためていこうと思う。

世の中的に情報はあちらこちらに散らばっていて、
なかなかうまく巡り合うことはできないけれど昔々のように
熱意があってもどうしようもない時代ではなく
(本当僕らの学生時代はそもそもフィジカルな場でしか個人の表現はなかなか見れなかった)
文字をよく読んで深く知りたい気持ちがあれば大抵どこだって行ける。


今回の展示も”知りたい気持ち”があるかどうかで受け取り方や見える角度が変わるように感じた。




「去年もやって、お客さんも喜んでくれたから今年もやろう!陶器市を!」
 そんな感じで企画した陶芸作家さん5名の合同展。
 それぞれの作家さんに強い繋がりがあるわけではなく、僕ら自身も共通項を見いだしてお声がけしたわけではありません。
 でもお店を作ることと同じで、やってるうちにドンドンのめり込み本気になり、深く考えずに初動を行ったことによって良くも悪くも試練がたくさん目の前に訪れる。
  毛色の違う作家さん達、しかも5名をどう並べてどう伝えるべきか?
  いざ店頭で作品を並べてから後悔をしたくなくって頭を捻った、、、
 よし、とりあえず会いに行こう。
  ちょうどそのタイミングでカメラマンの栗栖颯と「なんか今のBUMとの関係ややり方が違うと思う」って話をしていました。
 具体的に言うと、映像や写真って僕らのやっているやり方では直接的には利益を生まないんですね。
 宣伝や告知の"手段"として存在するので、僕らは有り難さを感じるし、必要性を感じるんだけど、颯は僕らと共に仕事をすればするほどに[BUM→颯]だけに"金銭"が発生する流れを変えたいと感じるようになっていました。
 それはきっと颯がBUMのチームの一員として自覚してきたからだと思うし、その想いは汲み取りたいなぁ。でもだからと言ってあの手この手で巧妙にお金を誰かから搾取するのは嫌いだ。だから共に"良いもの"を作ろうよ。そう話していました。
 高校生の頃かな?映画監督になりたーい!なんて思っていました。本当にそこに向かって走るわけでもないし、噛み砕けば「何者かになりたい症候群」やったと思います。
  その記憶が急に呼び起こされたのか
 "作家さんに会いに行くこと"  "颯と作品を作りたいこと"
 が脳内化学反応を起こし、颯に電話をして「なぁ、映画作ろう!」そう言いました。


これは今回作った映画に寄せた文章の一部です。

そう、初めはこの5人でないといけない理由はなかったんです。

なんと浅はか。不甲斐ない。でもその不甲斐なさを映像作家で逢坂STUDIO主宰の栗栖颯の協力のもと

しっかりと伏線として回収してきました。

今回は初日と中日の二度、上映会を行いました。

なかなかお客さんが集まらず、悔しい思いをしていましたが、結果的には二日とも満席。

当初無かった上映会をするというアイデアのお陰でより多くの人に伝えれたし、
その感動を同じ温度で分かち合えた事をうれしく思う。

4月とはいえ山の夜は寒く、一度目の時はみんな凍えていました。

でも僕はその分暖かいチャイが染み渡った。
その初回の時にたみおさんが暗闇の中で渡してくれたことがすごくよくて、
二度目はお客さんにも上映中に渡しました。

普段視覚から入ることの多い陶器を「口当たり」から感じることが新鮮で
今回の展示で大切にしている事が如実に表れていると思う。






旅をして、作っている人の顔を見て、生活の場を見て街を見て。

感覚的なものを作っているからこそ環境というのは強く作品に出る。

多治見の町で飲みすぎて最後バーで寝てしまったこと。金井さんところから出てすぐに奇跡のような景色を見れたこと。

海が寒すぎたこと。山中で遭難しそうになって見つけたコンビニの輝き。

全ての取材が終わった解放感の中、飲んだ珈琲の味。

旅の間聴き続けた高山くんの歌を聞くたびにこの情景たちが思い浮かびます。

長い展示期間に協力していただき、遠方から在廊もしてくれた

3rd CERAMICS 土井さん、長屋さん

故金あかりさん

平井秀さん

金井悠さん

タナカ製陶 田中さん

本当にありがとうございました。